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病気について

糖尿病の症状

治療を開始し、血糖値が正常にコントロールされた患者さんにお話を伺うと、血糖が高かった当時は気がつかなかったけど、 随分体の調子が良くなった、疲れにくくなったし、のどの渇きもなくなった、とおっしゃる方が多いです。

糖尿病の症状は、とりわけ初期ではほとんどなく、非常に気付きにくいものです。
多少血糖値が高いくらいでは、まったく症状のない人が大半を占めます。
健康診断やほかの理由で医療機関を受診した際血糖の高値や尿糖を指摘され診断に結び付くことがほとんどです。

しかしながら、ある程度の高血糖でも、合併症は着実に発症し進行して行きます。
症状が出てからでは遅いのが糖尿病の特徴です。
血糖高値が持続すると、のどが渇く、トイレが近い、身体がだるい、できものが出来やすい、傷が治りにくい、足がつる、疲れやすい、 物覚えが悪い、眠い、お腹がすく、食べてもやせる、といった症状が現れてきます。
ゆっくり進むことが多く、ご本人には気づきにくいことも多いのです。

糖尿病の合併症

自覚症状がないからと、糖尿病を放置したままにしていると、高血糖は全身のさまざまな臓器に障害をもたらします。
特に冒されやすいのは、神経障害(足の感覚がなくなる、立ちくらみ、胃腸症状、男性ではED等)や、 眼球の網膜が傷害される網膜症(最悪の場合失明します)そして、腎臓の機能が低下する腎症(年に1万人以上の患者さんに、 糖尿病性腎症が原因で新たに人工透析が必要となります)が起こってきます。
これを糖尿病の三大合併症と呼んでいます。これらの合併症は自覚症状が現れた後では、症状を抑える治療(対症療法)が中心となり、 元に戻すことはできません。症状が出現する前からしっかり糖尿病を治療し合併症の出現、進行を抑えることが重要です。

三大合併症
糖尿病に特有な合併症です。全身の細い血管の障害が出現します。

糖尿病性神経障害
糖尿病が進行すると、全身の神経の働きが鈍り、足先や手先がしびれたり、麻痺した感じがしたり、痛い、足が冷たい、ほてる、 力が抜ける、立ちくらみがする、額や顔に汗をかきやすいなどの神経症状が出てきます。
糖尿病性神経障害は糖尿病患者におけるもっとも重大な合併症の一つです。
知覚神経の障害はしびれ感、灼熱感などを伴う強い痛みが出ます。
自律神経の障害は、心臓神経の障害、消化管の運動障害(便秘・下痢)、発汗障害、起立性低血圧、瞳孔の変化、膀胱の機能障害、 EDなどを引き起こし、しばしば日常生活に大きな障害をもたらします。
糖尿病性腎症
腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、尿として、体外へ排出する役割を持っていますが、糖尿病で高血糖状態が続くと、 腎臓内の毛細血管が動脈硬化を起こして硬くなります。
腎臓の機能が低下してくると、だるい、疲れる、足がむくむ、貧血になる、吐き気がする、息苦しいなどの症状が現れますが、 これらの症状が現れたときには腎機能はかなり低下していて、人工透析などを受けなければならなくなります。
糖尿病腎症は、透析導入原因の第一位であり、透析療法に至った糖尿病患者の生命予後は厳しいといわざるを得ません。
透析療法に至る前に尿中アルブミン排泄量の測定などを行い、早期に治療をして行く必要があります。
糖尿病性網膜症
腎臓内の血管と同じように、眼の奥で光を感じる部分である網膜の裏側の血管は非常に細かく広がり、酸素と栄養を供給しています。
血糖の高い状態が長期間続くと、これらの血管は詰まったり、破れたりします。破損した血管から、血液や脂肪分が漏れ出し、 眼球内で凝固します(前増殖性網膜症)。
さらに、血管障害により酸欠状態となった場所では、新しい血管(新生血管) が作られますが、 この血管は非常にもろいため、簡単に破裂し出血しやすくなります。
このような状態を繰り返す事により、最悪の場合は失明に至ることがあります。
糖尿病性網膜症は日本における中途失明の最大の原因で、年間3000人もの人が新たに失明に至ると報告されています。
2型糖尿病においては、診断時に20%の人に網膜症が存在し、糖尿病発症後20年で60%の人が網膜症を発症します。
その他の合併症

動脈硬化症
血糖が高い期間が続くと、細い血管だけでなく太い血管も障害されます。
全身の血管に動脈硬化が進行し、細胞の死骸と処理しきれない脂質が一緒にかゆ状の塊を作ります。
これを粥腫(じゅくしゅ・プラーク)といいます。プラークのために動脈の内腔は狭くなったり、時にはつまってしまいます。
さらにプラークはふとしたきっかけに壊れやすく、血管の内部がつまってしまうのです(血栓症)。
脳への血管が詰まれば脳梗塞が、心臓の周りの血管が詰まれば狭心症、心筋梗塞が、足への血管が細くなれば閉塞性動脈硬化症が出現します、 血管がつまってしまうと、酸素と栄養がそれより下流に運ばれないので心臓や脳などの臓器や組織が痛んで死んでしまいます。
命にかかわる状態で、たとえ助かっても大きな後遺症が残りかねません。
動脈硬化を起こしやすい状態(危険因子)が知られています(糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙、性別(男性)、家族歴)。
これらの危険因子を是正することが動脈硬化の治療となります。糖尿病の患者さんは高血圧や高脂血症を合併しやすく、 これらの病気に対しても同時に治療を行うことが動脈硬化の進行を抑えるために必要です。
足の壊疽
糖尿病がさらに進行すると、足の感覚がなくなり、足に傷があっても痛みを感じず、傷が治りにくくなり、 足に壊疽(腐る事)を起こす人もいます。糖尿病足病変は足の爪白癬から進む足潰瘍、足壊疽まで幅広く有ります。
又、傷があっても神経障害で自覚症状がないため、発見が遅れます。
糖尿病の患者様はご自身が医師の助言を受けながら、自覚を持って毎日、フットケアを行ってゆく必要があります。
感染症
血糖が高い状態では全身の抵抗力が弱まっています。
また細い血管の合併症が進んだばあい外敵をやっつけるからだの仕組みがうまく働かないことになります。
糖尿病の患者さんでは、健康であればどうということもない傷が治りにくかったり、こじれたりしやすく、思いもよらぬ感染を引き起こします。
また水虫や歯周病も多くなります。
これらの感染症があると、そのことで血糖が高くなり、さらにこじれるという悪循環を引き起こすことになります。



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